【EA開発ガイド】Part 1 EA開発概論 – Chapter 11 儲かるEAを作ったら絶対に売らない

EAを作っていて2つ思ったことがある。ひとつが「なぜEAを販売するのか意味がわからない」である。長期運用で安定する可能性の高いEAであれば販売せずに自身で運用した方が良い。複利を使えば桁違いに資産を増やすこともできるので販売責任などのリスクを考えると販売する意味が分からない。もうひとつは「なせ他人のEAを購入するのか意味がわからない」である。バックテストの結果は簡単に偽装できるのでソースコードの確認できないEAなど怖くて購入することができない。そもそも儲かるEAなら自身で運用するので販売したりしない。もし、ソースコードが確認できるなら偽装コードがないことを確認後長期間のバックテストをしてEAを評価。それで本当に良ければ買ってもいい。しかし、ソースコードは簡単にコピーされてしまうので基本的に公開できない。結局のところ他人のEAを買うなどEA開発者の立場からすると正気の沙汰とは思えない。ある程度のITリテラシーがあればEAの入門書を読んで三カ月くらいで開発できるようになると思う。EAを購入するお金があるなら自分に投資した方がいいだろう。

注意事項

本記事はFXの自動売買について紹介していますが内容を保証するものではありません。金銭にかかわる内容であるためご注意ください。参考にする場合は自己責任でお願いします。EAの販売に対する考察は個人的な見解であり、販売されているEAが有用でないことを保証するものではありません。

もしも儲かるEAを開発したら

安定稼働できるEAであれば販売するよりも自身で運用した方が儲かる。

販売せずに自分で運用する

EAを作っていて思うのだがもし儲かるEAが開発できたら「絶対に販売しない」と思う。利益が目的でEAを販売するわけだが、複利を考えると自分で運用した方が効率がいい。ただし、EAが長期間でプラスにならない場合はその限りではない。

方法 メリット デメリット
儲かるEAを自分で運用 ・複利を使って資産を増やせる ・マイナスが発生する可能性がある
儲かるEAを販売 ・マイナスになることがない ・単価なので複利が使えない

本当に儲かるEAであれば複利を使って増やした方が無難である。

EAを販売するメリット

最大のメリットはマイナスがないこと。どんなに優秀なEAであっても月ベースでマイナスになる可能性はある(優秀なEAなら年マイナスはないと思うが・・・)。なので、年単位でマイナスが発生する可能性の高いEAほど販売した方がいいのである。逆に言えば年単位でマイナスにならない(なる可能性が非常に低い)EAであれば販売するメリットがないのである。

エントリーポイント公開のデメリット

もし儲かるEAを有償であってもばら撒いたら皆が同じエントリーポイントで利益を上げることになる。その規模が大きくなった場合そのEAのアルゴリズムに対して不利になるような売買システムが為替相場に導入される可能性もある。といってもこれは確証がないのでほとんど妄想。ただし、エントリーポイントをさらす(公開)ことは少なからずリスクがあるので儲かるEAほど知られたくない。

なぜEAを販売するのか

どんなビジネスや投資でもそうだが「本当に儲かるなら自分でやる」はずである。金の卵を産むニワトリを複製して売ることはありえない。

長期間運用でマイナスになる可能性が高い

ハマる年によってはプラスになるがそれ以外は大きなマイナスがでるEAであれば販売して儲けた方が安全。マイナスの年に資産を全部溶かしてしまう可能性があるが、販売するのであればマイナスは基本的に発生しない。EA販売者は長期運用でリスクがあるからこそ運用せずに販売して利益を得ようとする。

バックテスト詐欺

EAの良し悪しはバックテストで確認できる。しかし、バックテストの結果は簡単に偽装できるので簡単に信用することはできない。ソースコードを見て偽装(負けのリジェクトなど)がないか確認しないとEA本来の性能を評価することは難しい。逆にソースコードを開示しているEAであれば自分でバックテストをできるので本来の性能を見極めることができる。

【EA開発ガイド】 Part 6 バックテスト実践 – Chapter 7 詐欺EAの作り方

EAを稼働させるより売った方が儲かるから

性能の悪いEAであれば運用するよりも売った方が儲かる。そういうこと。

EAの評価

ソースコードとバックテスト結果を見ないと何とも言えない。短い期間のフォワードテストが好成績だったとしても長期運用に耐えられるとは限らない。

PF(プロフィットファクター)

プロフィットファクターとは収益を損益で割った値。なので1以上であれば利益がでたことになる。たとえば収益150万円で損益50万円の場合はPFが3.0となる。PFは高すぎると偏りの可能性があるため高ければ良いというものでもない。

PFの目安をどれくらいにするかは、厳密には決めてはいません。今の基準はこれくらいです。

「PF1.5未満」

~中略~

私の基準が正しいかどうかはわかりません。ただ、高すぎるPFは要注意であることは意識しておくべきです。

引用:PF(プロフィットファクター) MT4商用EAで留意するポイント

筆者の感覚では10年平均でPF1.3が限界だと思っている。年単位であればPF2.0以上も可能。年単位でチャートの特性が異なるため10年間で1.5以上のPFを出すことは実質不可能だと思っている。

取引数と対数の法則

バックテストでの取引数で性能評価ができる。以下の2つのEAがあった場合どちらがいいだろうか?

・(A)バックテスト10年100取引でPFが2.0のEA(年10取引)

・(B)バックテスト10年8,000取引でPFが1.3のEA(年800取引)

PFだけを見ると(A)を使いたくなるが取引数が少なすぎる。100取引なので平均すると1年10取引で(B)は800取引。

コインを100回投げた結果とコインを8,000回投げた結果どちらの方が安定するだろうか?さすがに8,000回もコインを投げたら5割に近づく。結論を言うと取引数の多いEAのPFの方が安定している可能性が高い。ただし、年毎にチャートの偏りがあるのでコインのように結果は収束しない可能性が高い。

ソースコード確認

EAのバックテスト結果に偽装がないか確認するにはソースコードを確認するしかない。開示されたソースコードでバックテストして公表されているデータと差異が無ければ信用してもいいだろう。ただし、本当に儲かるEAのソースコードを開示する頭のオカシイ人はいないと思う。

バックテスト結果の見分け方

MT4のバックテスト結果のレポートを見るとこんな感じのレポートが出てくる。

これがもし右肩上がりの直線だった場合は偽装の可能性が非常に高い。アービトラージなどの特殊なことをしない限り右肩上がりに資産が増えることなどありえない。

チャートには月単位や年単位で癖があるので必ずどこかに大きなドローダウン(損失の連続)が発生する。わかりやすいのは資産グラフがチャートのようにランダムに動くような感じであれば偽装の可能性は低いと言える。

まとめ

もしEAで簡単に儲けられるとしたら「お金持ちが全力で投資している」ハズである。普通に考えてEA開発に投資して儲かるEAが出来上がったとしてもそれを販売することはない。自分の資産運用のために使うだろう。開発費が五千万くらいあればそこそこ良いEAが外注でつくれるんじゃないだろうか(単価については下記記事参照)。

EA開発者側の視点から見るとソースコードが確認できない高額なEAを購入するとかありえない話。プログラムにちょっと細工をすれば簡単にバックテストで好成績のEAを作ることができる。他人の作ったEAは、偽装が無いかソースコードを確認し10年以上のバックテストで年単位のマイナスが出なければ使ってもいい。そもそもそんな好成績のEAのソースコードを公開する人などいないと思うが・・・。

儲かるEAがあるなら販売せずに開発者自身で運用しているハズ。なぜならば販売するよりも運用した方が複利があるので桁違いに資産を増やせるからだ。それなのに、なぜ儲かるEAが高額で販売されているのだろうか?世の中にはそれだけ葱を背負っている人が多いのだと思う。特に「儲けたい」と強く思う人は鴨にされやすい。

ポイント
  • ほうんとうに儲かるEAであれば販売するより自身で複利運用した方が儲かる
  • 性能の悪いEAは運用するより高額で販売した方が儲かる
  • 30万円のEAを購入し毎月30万円の収入があれば誰も働かなくなる

EA作成者が長期間安定稼働できるEAを販売するメリットはほとんどありません。

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